校長あいさつ
本校は、今年度で創立149年の歴史と伝統ある小学校です。かつては分校が3つあり、児童数は多い時には600名を超えた時期もありましたが、今は15名にまで減少しています。
本校の学区である米里地区は、かつては沿岸と内陸を結ぶ拠点として、また、金の採掘地、馬の産地、官有林の所在地などとして栄え、人首の街には法務局が置かれ銀行があり、教会も2つあるなど、大いに賑わっていました。また、宮沢賢治が2度、菊慶旅館(今は廃業)に宿泊し、「人首町」という詩を詩集「春と修羅」に残しているほど、この地を気に入ったようです。
このようにかつて栄えた人首も過疎化の流れには逆らえず、本校の児童数も大幅に減少してきました。しかし、地域住民の学校に寄せる期待は大きく、学校教育にもたくさん協力していただいております。昭和29年には、当時童話作家として活躍していた小川未明の直筆による詩碑が建立され、その詩「いかなる烈風も 若木を折る力なし 伸びれ子供らよ」が、本校の校訓のように語り継がれています。
豊かな自然に恵まれ、歴史と伝統ある人首小学校、児童と教職員の人数こそ少ないですが、「児童も教職員も楽しい学校」を目指し、一日一日を大事にしながら頑張っています。
本校の教育目標は「豊かな心と自ら学ぶ力を持ち、たくましく生きる子どもの育成」であり、目指す子ども像は「学び合う子ども(かしこく)」「思いやりのある子ども(なかよく)」「たくましい子ども(たくましく)」です。
これらの目標・目指す子ども像に近づくために「ひ・と・か・べ」の合い言葉にまとめ、子どもたちに繰り返し話しています。
「ひ」・・・ひとが喜ぶことをします。
「と」・・・とも達を大切にします。
「か」・・・からだを大事にします。
「べ」・・・べんきょうを進んでやります。
そして、これらは自分一人で頑張るのではなく、子ども・教職員・保護者・地域の方々が「つながる」ことで達成できると考えています。
今年度は、本校が149年の歴史を閉じる最後の年となりました。
これまでの人首小学校の歴史や伝統を再発見するとともに、人首の「ひと・もの・こと」に触れ、その良さを発見し発信する活動を大切にしたいと考えています。その中で、人首に誇りをもち、人首のために貢献したいという願いをもった子どもたちを育んでいきます。
閉校はとても寂しいものですが、「江刺ひがし小学校」に向けて、新しい友達との仲も深めながら、子どもたちが夢や希望をもって前進していけるよう、教職員で協力し努力していきます。
今後も、これまでと同様、ご指導・ご支援をよろしくお願いいたします。
令和4年4月 奥州市立人首小学校
校長 菅原 るみ子